山のしづく
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思いつくまま
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HSさんからの手紙

私のホームページの『旅行記』と『思いつくまま』の原稿を、HSさんにお送りして読んでいただいた。 HSさんは私が勤めていた会社の上司だった方で、『さざれ石』というエッセイ集を6巻出版され、出版されるたびに送っていただいたので、私の本箱には6冊の『さざれ石』が並んでいる。 私がこのホームページに拙文を発表しようと思い立ったのも、HSさんの『さざれ石』に感化されてのことであった。 HSさんは音楽・文学を始めあらゆる分野の芸術に造詣が深く、特にモーツァルトに関しては、単なる愛好家の域に留まらず、研究者の領域に達しておられると私は思っている。 

30年ほど前、国産初のパソコンを他に先んじて使い始められたのはHSさんであったが、最近では自らを『縄文人』と称され、パソコンからは遠ざかっておられるため、私のホームページをご覧いただく代わりに、印刷した原稿をお送りしてお読みいただいた。 

お身体の調子も快調とは言えぬ中を、私の文章を丁寧にお読みくださり、ご感想とご指摘に加え細部の添削に至るまで、9ページにわたって記されたお手紙をいただいたことに深く感謝申し上げるとともに、身に余るお褒めのお言葉を賜ったことは、私にとって大きな喜びであり、今後のホームページ作りに大きな励みとなった。 

改めてお手紙を拝見すると、HSさんの暖かく優しいお人柄が、文面ににじみ出ているのがよく分かる。 HSさんご了解の下に、お手紙の内容(原文のまま)を以下に記してみたいと思う。 

−略− さて、貴文集ですが、私は臥せりながら日々じっくりと読ませて頂きましたが、貴方の文章は、些かも「冗長で退屈な」(注参照)ところは無く、全くよく考慮された、整った文章であることに、敬服しました。 これはお世辞ではなく、私の本当に感じた印象です。 充分検討された表現であり、無駄な用語が無いことにも感心しました。 出張報告や取説風の書き方(注参照)と言えば、確かにその気配はありますが、それは少しも欠点ではなく、徒らに文学的な表現よりも、私は優れた文であると思います。 

そして、驚嘆したのは、殆ど誤字・脱字が無いこと(私はエッセイ教室で散々しぼられたので、そのようなミスがないよう、人一倍配慮して文を綴ったのですがそれでも、いつもミスが残った体験を思います)。 また、英語サイトも、すべて私の納得できる素直な表現であり、貴方の英語力にも感心し、色々と海外で苦労された賜物なのだと思いました。 

唯一、貴文で、今後は改善に努められた方が良いと思うのは、読者が読みやすく、読み誤りのないよう配慮して、句読点の「読点(、)」を、もっと適切に、多く配することですね。 例えば「ハンガリー旅の思い出」の最初の文なら、「ウィーンから、マハルト‐‐‐‐‐‐川を下り、‐‐‐‐‐‐」或いは「水中翼船で、ドナウ川を‐‐‐‐‐‐入った」でしょうね。 

それでは以下各文について、すべて感心、納得し、楽しんだ中で、極僅かだけ気にかかった、些細なことを、お知らせしておきましょう。 −略− 

(注)この文集をHSさんにお送りしたときの私の手紙に、「出張報告か機械の取扱説明書風の書き方で、冗長で退屈な文章であろうとは思いますが、お暇なときにご覧いただければ嬉しく存じます。」と書いたことを引用されたもの。 

HSさんからご指摘のあった『読点の打ち方』については、文章を書くとき常に悩むところである。 学校でも習った覚えは無く、適切な指針となるような、何か法則のようなものが無いか以前から探していたところ、20年ほど前に、本多勝一(元朝日新聞記者)著『日本語の作文技術』という本にめぐり会った。 この本には、文章を作るときの原則が書かれており、それまで文章を書くときいつも悩んでいた疑問が、ほぼ解決したような気がした。 (この本の内容については、私のホームページで改めて取り上げたいと思っている。) 

この本を読んで以来、できるだけこの原則に従って文章を書くことに心がけてきたつもりであった。 特に『読点の打ち方』については、よほどの長文でない限り、一つの節の中に読点は1つか、多くても2つにするように努めてきた。 読点がなくても読み返さずにすらすらと頭に入る、読みやすい文章を書きたいと思ったからである。 

私の文章は、読点が少なすぎて読みにくいということは、実は妻からも指摘されており、改めて自分の文章を読み直してみると、自分では守っていたつもりの前述の原則が、多くの部分で守られておらず、読点を少なくすることにばかり気を取られていたことに気付いた。 日常接する文章のみならず、著名な小説家の作品の中にも、読点が多すぎて非常に読み辛い思いをした印象が強く残っており、ついつい読点を少なくしようとする方向に作用したのであろうと思う。 私のホームページの中で、今後発表するものについてはもとより、既発表分についても、『読点の打ち方』については逐次見直しをしていきたいと思っている。 

『読点の打ち方』の他にHSさんからご指摘のあった、「一般的でない外国語や固有名詞に対する注釈の追加」や一部の「誤字」については、ホームページの修正をすべて完了した。 HSさん、ありがとうございました。

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