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短歌の部屋


短歌2013


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1301 老ゆるほどに時の刻みは狭まりて
対数表の如き人生


NHK短歌(2013月号掲載)
佳作 題 表 選者坂井修一氏




1302 大人より子らへ引継ぐ借金は
半減期無き被爆の如し


東海歌壇(201317日朝日新聞掲載)

入選 題自由 選者岡井隆氏




1303 オルセーのルドンの名画想ひつつ
武満徹の「閉じた眼」を聴く


角川公募短歌館(月刊「短歌」2013月号掲載)

佳作 題自由 選者三枝浩樹氏




1304 病棟の窓より望む公会堂
五十年前にカラヤン聴きぬ


角川公募短歌館(月刊「短歌」2013月号掲載)

佳作 題自由 選者 大島史洋氏




1305 ナマケモノのやうに脚立を上り下り
半日かけて一本刈りぬ


角川公募短歌館(月刊「短歌」2013月号掲載)
佳作 題自由 選者三枝浩樹氏




1306 フィヨルドの峡(かい)より出でし蒼き月
(せ)き止めらるる湖(うみ)を照らせり


ジパング倶楽部会報(2013月号掲載)

入選 題自由 選者篠弘氏

選者評ノルウェイ独特の冷えびえとした光景が見事に描出される。切り立った峡湾から出た「蒼き月」は、深い臨場感を持つもので、身の緊(し)まる思いで眺め入る。




1307 リューマチを病みたる母の
節榑
(ふしくれ)の指より生(あ)れし手袋温し


角川公募短歌館(月刊「短歌」2013月号掲載)

佳作 題自由 選者 沢口芙美氏




1308 「新聞の切り抜き何に使ふの」と
問はれて我は返事に窮す


東海歌壇(201318日朝日新聞掲載)

入選 題自由 選者岡井隆氏




1309 おほいぬのふぐりたんぽぽすみれさう
プリマヴェーラの野に遊びつつ


NHK短歌(2013月号掲載)

佳作 題 遊ぶ(遊び) 選者坂井修一氏




1310 瞑想の中のあらすぢ次々と
(うつつ)となりて事は運びぬ


NHK短歌(2013月号掲載)

佳作 題 めざめ・寝起き(テーマ) 選者斉藤斎藤氏




1311 退職後十五年を経てなほ覚ゆ
月曜の朝の目覚めの憂鬱


東海歌壇(201320日朝日新聞掲載)

入選 題自由 選者岡井隆氏




1312 マヨルカの光と陰のバラードに
病めるショパンの息づかひ聴く


角川公募短歌館(月刊「短歌」2013月号掲載)

佳作 題自由 選者古谷智子氏




1313 永遠に鎮火せぬ火を負はされし
子孫の叫び聞こゆる如し


東海歌壇(201311日朝日新聞掲載)

入選 題自由 選者岡井隆氏




1314 ヴェランダのレタス千切りて
富士柄の器に盛れば北斎の波


NHK学園・名古屋短歌大会(2013日)

入選 題自由 選者馬場あき子氏・東直子氏他




1315 山峡の駅前旅館の大時計
二つを聞きて夜汽車に乗りぬ


NHK学園・名古屋短歌大会(2013日)

入選 題駅 選者馬場あき子氏・東直子氏他




1316 手術終へて付き添ひの妻
恋人の頃の顔して手を握りたり


東海歌壇(201312日朝日新聞掲載)

入選 題自由 選者岡井隆氏

選者評作者の手術につき添った妻。「恋人の頃の顔して」がよかった。




1317 モッツァレラにトマトとバジルを貼り付けて
マルゲリータはピッツァのコラージュ


NHK短歌(201310月号掲載)

佳作 題乳製品(テーマ) 選者小島ゆかり氏




1318 夏嵐日本の島の南端に
停泊しつつ雨を降らしぬ


角川短歌「題詠」(月刊「短歌」201311月号掲載)

入選 題・船 選者・小畑庸子氏

選者評嵐が停泊する、即ち船は優れた比喩。






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